心の音

心に浮かんだ言葉を書き残しています。時折、写真と共に。

底辺の職業ランキングに思うこと

昨日ちらりと見かけたのだが、底辺の仕事ランキングとやらが一昔前発表されたらしい。

内容について触れるつもりはない。

 

私は土木作業員の父と専業主婦の母の元で育った。

勿論生活はまぁまぁ貧しかった。

母はモラハラ気質。

父の仕事はバカでも出来る、穴を掘って埋めるだけだと見下していた。

父もそれを否定した事は無かった。

だから私もある時まで父を見下していた。

稼げない役立たずとか穀潰し、とんでもない事を言う奴だった。

 

高校卒業後の私は社会情勢が悪く正規の仕事が見つからず。

フリーターとして社会に出ることになる。

某ショップ店員。

当然母からは見下されたし自分自身、社会の最底辺だと思いこんでいた。

数年後に縁あって父と同じ会社で事務として働くことになる。

建設業で働く人達の姿や父親の仕事ぶりを目の当たりにする。

 

“バカでも出来る”という母の表現は酷いものであるが学力より体力仕事である場面が多いのは事実な気もする。

しかし、“穴を掘って埋めるだけ”という工程も実は命懸けなのである。

工程を誤れば命を落とす作業員もいる。

夏場になれば熱中症で亡くなる方も出るのだ。

 

そんな建設業界に身を置くうち職業の貴賎など有りはしないと思うようになった。

例えば、私が勤めてきたショップ店員。

見下されがちだが存在しなければ店は成り立たない。

当然私達の生活はお店の存在に支えられている。

食料品や生活必需品を買うお店がなければ私達は生活できない。

笑顔のオマケまで付けてくれる。

 

父と同じ会社で働いたのはほんの2年。

けれどこの二年で父や父が就いている仕事への思いは大きく変わった。

 

父の仕事は給料は安くても立派で大切な仕事だ。

この人たちがいなければ私達の豊かな暮らしは存在し得ない。

道を直し、古くなったガス管や水道管を替え、災害が起きないように日々街作りをしている。

 

どんな仕事も馬鹿にしてはいけない。

 

父の技量は実は社内でトップレベルだそうだ。

 

当時の私の振る舞いは本当に申し訳なかったと心から思う。

 

今の私は父をとても誇らしく思っている。

とても大変だけれど必要とされる仕事を長く続け、育ててくれた事に心の底から感謝している。

 

そして全ての働く人達へ日々感謝なのである。