心の音

心に浮かんだ言葉を書き残しています。時折、写真と共に。

心病んだ母と娘の話

少しだけ働いた職場に行ったら誰も私を覚えていなかった日。

 

昨日読了した本やテレビのニュース。

想いを馳せるは離れた母。

 

精神的に弱い人だった。

数年前、彼女は壊れてしまった。

突然妄想が始まった。

父曰く、診断名はまだ付いていないらしい。

私的には疑っている病名はある。

 

幼い頃母が大好きだった。

母はとても優しかった。

小学校に上がって変化してきたように思う。

ちょっとしたことで一人泣き暮れてみたり。

父にはDV紛いの行動をとるようになった。

キレて物が飛ぶのは当たり前になったし、アルコールに逃げるようにもなった。

年々飲酒量が増え、昼夜逆転になることも多かった。

 

彼女が変わってしまったのは私達にも原因があるのかもしれない。

母自身の心の弱さや脆さに気がつかなかった。

私は強い人間だと虚勢を張ることが多かったので、信じ切っていた。

反抗期になれば反抗するし、傷つくようなことも平気で言った。

 

結婚が決まり、最後の日は家をたたき出された。

顔を真っ青にして私を送り出した母。

 

「旦那さんを大切にね」

 

妄想の中でまともな言葉を私にくれた。

 

恨むことなど出来なかった。

 

数ヶ月後大暴れし父が力ずくで医者に連れて行ったらしい。

今のところは普通に暮らしているが、先のことなど分からない。

 

親戚は皆我関せずを貫いている。

「お金のことなら相談に乗るけれど母の話はしないでくれ」

「私達ももう年寄りで嫁に出したんだからそっちでなんとかしてくれ」

「死に行く年寄りに負担になるような問題を持ち込まないでくれ」

「金輪際母を実家に帰さないでくれ」

 

私と父二人だけで母を支えていく事になるのだろう。

 

母が可哀想でならなかった。

彼女は生みの母と育ての母が違う。

生みの母にも育ての母にも頼ることが出来ない中で必死に母親になったのだ。

あの繊細な精神で。

実の母はこの事実を知らない。

育ての母は上の通り。

 

母にとって私は遠い方が良い存在。

私も再発しないよう、ストレスを与えないよう距離を持って接している。

お母さん寂しいはず!云々言われるのだけれど。

今は父と二人で外野に何も言われずに過ごせる方が精神的には良いはずだ。

それに母とは長く話すのがしんどい。

 

電車に乗ると一人ぼそぼそしゃべっている人が居る。

道を歩いていると突然キレてくるオバサンが居る。

 

人々がその様子を白い目で見ている。

悲しい気持ちで私はその風景を見つめている。